作家紹介


藤澤保子 ご挨拶








 漆工芸は日本の美意識を体現するものとして長い歴史を有しています。日本人の美意識は漆とともに醸成されてきたともいえます。

 漆の木の樹液を精製して作られる漆は、ある時は塗料として使い、ある時は接着剤、また充填剤としても利用します。漆の技法は、金粉を蒔き付けたり(蒔絵)、薄貝などを埋め込んだりする(螺鈿)など多岐にわたり、多くの技法が先人たちにより開発され、現代に受け継がれてきました。

 漆の作品を創るためには、まず純度の高い漆樹液を採取することが必要です。それに加え、漆の作品のベースになる「胎」の素材となる木や金属、和紙・麻布などの質が高く、かつその造形が心に訴えるものであること。刷毛をはじめとする様々な道具の特性を十分に理解し、扱いに習熟すること。表現するうえで最適な技法を選択し、その技法を継承・発展させること。何よりも漆の美を感じ取ることができる人がいること。これらすべての要素が一つでも欠けると、良い漆作品が創造できません。

 「漆黒」とは吸い込まれるほどの深い黒のことで、化学塗料の跳ね返るような黒とは全く異なります。漆作品は、当初は漆黒でも、使用に伴い表面が摩耗し、下の素地の色が浮き出てくることがあります。作品と一緒に時を過ごすことで、お使いになる方の雅身を醸し出しているともいえます。漆工品は持ち主とともにあります。

 詳しくは拙著『うるしの文化』(小峰書店)を参照していただけると幸いです。
 作者敬白 藤澤保子


略歴

 藤澤 保子(ふじさわ やすこ)

 1944年 東京生まれ

 東京藝術大学 美術学部ビジュアル・デザイン専攻 卒業

 同大学院美術研究科 漆芸専攻 修士修了 芸術学修士

 日本工芸会正会員を経て現在独立漆芸作家


教職歴

 桑沢デザイン専門学校講師

 多摩美術大学附属多摩芸術学園講師

 日本デザイナー学院講師

 千葉大学教育学部講師


デイリーニュース千葉 2018/1/11
発表暦

 伝統工芸新作展入選 12回

 日本伝統工芸展入選 (奨励賞を含む) 5回

 東京藝術大学教官・修了生漆芸展 2回

 「画廊椿」画廊企画「藤澤保子展」 3回

 「画廊椿」テーマ企画展 4回

 鳩居堂画廊個展「第一回藤澤保子漆芸展」2003年

 展示作品集解説2003年

 鳩居堂画廊個展「第二回藤澤保子漆芸展」2008年

 展示作品解説2008年

 中学校「美術」教科書 (開隆堂版) 作品掲載1998年

 中学校美術教材鑑賞用DVD制作2013年

 中村知好企画・制作DVDドキュメンタリー「藤澤保子『今』」2013年


著書

 単著

   『うるしの文化』 小峰書店

 共著

   『デザイン教育大事典』 鳳山社

   『金属でつくろう』  『ゲーム・パズルをつくろう』

   『自然のものでつくろう』  『ひもでつくる』 

   『ガラスでつくる』  『人形をつくる』 以上 小峰書店